−196℃を持ち運ぶ!?超低温液化ガス容器「LGC」
LGC とは Liquid Gas Container の略で、直訳すると「液化ガス容器」。
しかし高圧ガス業界では、より正確に『可搬式超低温液化ガス容器』と呼ばれています。

● なぜ「超低温」なのか
炭酸ガスや亜酸化窒素のように、常温でも圧力をかければ液化を維持できるガスは、通常の鉄ボンベに充填されます。一方、
- 酸素(沸点:−183℃)
- 窒素(沸点:−196℃)
- アルゴン(沸点:−186℃)
といった極めて沸点の低いガスは、常温ではいくら圧力をかけても液化しません。
そのため、これらのガスは超低温で液体のまま保管・輸送できる専用容器=LGCが必要になります。
● LGC の構造
液体窒素が−196℃でガス化するように、超低温液体は少しの熱でも蒸発してしまいます。
そこで LGC は、魔法瓶と同じ 真空二重構造を採用し、液体のまま保冷・保管・運搬・供給できるようになっています。
また、タンクローリーや据置型タンクとは異なり、移動可能(可搬式)である点も大きな特徴です。
● LGC の用途
LGC は、主に以下のような場面で活躍します。
- 大量のガス消費に対応したい現場
→ ボンベ交換の手間を大幅に削減できます。 - 液体窒素を液体のまま使う用途
→ 分析機器への注入、凍結保存、冷却用途など。
LGC は「大量供給」だけでなく、「液体のまま使える」ことも大きなメリットです。
● LGC 1本でどれだけ使える?(ボンベ換算)
LGC は省スペースでありながら、大容量のガスを確保できます。
では実際に ボンベ(7m³)に換算すると何本分になるのか、計算してみましょう。
| 種類 | 内容(kg) | 気化後ガス量(m³) | ボンベ換算 |
| 液体酸素 | 165kg | 約130m³ | 約18.5本分 |
| 液体窒素 | 115kg | 約103m³ | 約14.5本分 |
| 液体アルゴン | 200kg | 約126m³ | 約18本分 |
→ 1本で十数本分のガスを確保できるため、作業効率が大きく向上します。
● LGC の注意点(カードルとの違い)
LGC の唯一の弱点は 使用圧力 です。
液体を気化させる際の圧力は 0.8〜0.9MPa ほど。
そのため実際に使える圧力は 0.6MPa以下 が目安となります。
そのため、
- 高圧が必要な作業(溶接・切断など)
には向いていません。
用途に応じて「カードル」か「LGC」かを選択することが重要です。
● まとめ
LGC は、
- 大量のガスを省スペースで確保したい
- 液体窒素・液体酸素などを液体のまま使いたい
- 据置タンクほどの設備は必要ない
- ボンベ交換の手間を減らしたい
そんな現場に最適な、高効率のガス供給方法です。
用途に合わせてカードルとの併用も可能ですので、
現場の条件や必要量に応じた最適なご提案もできます。
よろしければぜひお問合せください!


